【もの補助】給与支給総額と人件費の違い
「給与支給総額」と「人件費」は異なる!計算ミスにご注意を!
※本記事における注意事項(必ずお読みください)
(1)「令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」における「公募要領(4次締切分/1.2版)」を根拠としています。他の補助金等では取り扱いが異なる可能性があります。
(2)補助金申請においては、各申請者が自己の責任をもって、適切に行ってください。当該記事を根拠に申請されても、当法人は一切の責任を負いかねます。必ず自己の責任で事務局等に確認の上、申請下さい。
(3)本記事に関するお問い合わせはお断りしております。計画策定コンサルティング等をご希望の方のみ、お問合せ下さい。申請に関することは、自己の責任において各事務局へご質問下さいますようよろしくお願いします。
(4)本記事は、令和2年11月12日に執筆致しました。事後的な変更が生じる恐れがございます。またその場合でも、すぐに修正されるとは限りませんので、予めご了承ください。
(5)その他の事業計画書の作成上の注意点や書き方の開設については、下記の記事をご参照くださいませ。
「給与支給総額」に関する説明(公募要領8ページ抜粋)
「令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公募要領(8ぺージ)において、「給与支給総額」について、以下の通り説明があります。
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※4給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます。
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↑「給与支給総額」は補助要件として「1.5%以上/年」向上を実現させなくてはならず、この理解は極めて重要です。そのため、まずはこの定義を見落とさないようにしましょう。そして、「よくある質問」の「Q11」にも以下の通り記載があります。
===================================================Q11.給与支給総額にはどんな経費が含まれますか?
A11.従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得とされるものが含まれます。ただし、退職手当など、給与所得とされないものは含まれません。福利厚生費も含まれません。
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↑「給与支給総額」についてより具体的な記述がありますね。ここで重要なのは、「給与所得とされないもの」が「除外」されていることがわかります。つまり、「給与支給総額には、給与所得とされるものについては含まれる」わけです。判断に迷った場合は、国税庁の「給与所得となるもの」をご確認頂くと良いでしょう。
「給与支給総額」の達成が未達の場合は、補助金返還?!
「令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公募要領(9ぺージ)において、以下の記載があります。
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<給与支給総額の増加目標が未達の場合>
・事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。
・ただし、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を越えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。
・また、給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合には、給与支給総額増加率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることを認めます。
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上記の赤字部分に記載があるとおり、給与支給総額の増加目標が未達の場合については、原則は補助金を返還しなければなりません。しかし、「但し書き」に記載があるように、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合については、「給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を越えている場合」については返還不要となっています。なお、「天災など事業者の責めに負わない理由がある場合」についてはかなり限定的に解釈されるであろうことから、ほとんど適用は期待しない方が良いでしょう。
「人件費」に関する説明(よくある質問Q12抜粋)
一方、「給与支給総額」とは似て非なるもので、かつとても重要なのが「人件費」です。この「人件費」については、「よくある質問」の中に、以下の通り記載があります。
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Q12.会社全体の事業計画上の人件費にはどんな経費が含まれますか?
A12.下の各項目の全てを含んだ総額を人件費とします。
・売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
・一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
・派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出してください。
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↑このように、「人件費」では、「給与支給総額」とは異なり、「福利厚生費」や「退職金」等も含まれるという点に注意が必要です。以下に、給与支給総額と人件費の「比較表」を作成してみました。
【まとめ】給与支給総額と人件費の比較表(ものづくり補助金)
比較項目 | 給与支給総額 |
人件費 (※1) |
従業員給料(※一般管理費に含まれる) | ○ | ○ |
従業員賃金 (※売上原価に含まれる労務費のうち福利厚生費・退職金などを除く賃金) |
○ | ○ |
「売上原価に含まれる」福利厚生費・退職金等 |
× | ○ |
各種手当 (残業手当、休日出勤手当、通勤手当、職務手当、地域手当、住宅手当等) |
○ | ○ |
従業員への賞与及び賞与引当金繰入れ | ○ | ○ |
役員報酬 | ○ | ○ |
役員賞与 | ○ | ○ |
福利厚生費 | × | ○ |
法定福利費 | × | ○ |
退職手当 | × | ○ |
退職金及び退職給与引当金繰入れ | × | ○ |
出向者負担金(出向先企業が出向元企業へ支払うもの) (※2) | ▲ | ▲ |
外注費(派遣労働者や短期労働者に対する給与等)(※3) | ▲ | ○ |
※1…算出が難しい場合は、「平均給与に従業員数を掛けることによって算出」とされています。
※2…厳密には企業間における「出向契約」に基づくため、個別に事務局へ確認することをお勧めします。
※3…「外注費」という名目を使用しているだけで、「給与所得とされるもの」については、「給与支給総額」に含まれると考えられます。つまり、この場合でも、福利厚生費や退職金等は除外されると考えられます。