【事業再構築補助金】新築費用(建物費)の取り扱いについて(第6回以降の変更点)
「建物費」について、新築費用は「(原則として)対象外」に!
公式資料(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/hoseiyosan_gaiyou.pdf)
事業再構築補助金の第6回公募申請以降においては、補助対象経費のうち「建物費」について、これまでは「新築費用」も認められてきましたが、「原則として改修費用に限る」こととされました。一般的に建物の新築費用については、建設コストが高騰している背景もあり、1社に対して多額の補助金を交付するよりは、多くの事業者へ分配をしたいと考える政府の意向が推測されます。
「新築費用」が完全に否定されたわけではないことにも要注意!
どうしても「新築費用」で申請をしたい場合の必要書類とは?
事業再構築補助金第6回公募における改正事項として、「原則として」建物の新築費用については補助対象外とされることとなりました。しかし、「新築費用が絶対にNG」になったわけではないことにも留意が必要です。
その証拠として、「新築費用で申請する場合の添付資料」として、右のような「新築の必要性に関する説明書」が公表されています。建物費について、「新築費用」で申請した補助事業計画においては、「審査」が厳しくなるであろうことは推測できるものの、事業再構築補助金第6回公募以降も依然として「新築費用」について申請することは可能というわけです。
それでは、この「新築の必要性に関する説明書」には、どういったことに注意して、何を記載すればいいのでしょうか。以下に当法人の見解を解説させていただきます。
「新築の必要性に関する説明書」の記載方法と注意点について
記載項目その1.補助事業の概要及び建物費の詳細
こちらの項目では、「補助事業の概要」と「建物費で計上する経費の詳細」の2点を記載する必要があります。新築費用を申請しようとする場合に必要となる「新築の必要性に関する説明書」は、最大2ページ以内で記載(フォントサイズは自由とされています)を要しますので、この2項目で「1ページ程度」の記載分量が必要になるイメージです。ページ数超過は不採択の可能性が高まりますので、ご注意ください。
なお、ここで「補助事業の概要」の記載が求められているということは、「事業計画書」とは独立して審査される可能性もあります。そのため、「事業計画書に詳細が書いてあるから、概要は簡単に書いておけばいいや」と考えるのではなく、「新築の必要性に関する説明書」だけを見ても誰もが理解できるように、しっかりと要点をまとめて記載するようにしましょう。
また、「建物費で計上する経費の詳細」についても、その記載方法について注意が必要です。「詳細」とあるからには、「建築費用一式●●●●万円」とだけ記載するのではなく、「●●工事 ●●●万円、▲▲工事 ●●●万円」というように、可能な限り細かい「見積書」及び「相見積書」の双方を事前に手配したうえで、実現性の高い具体的かつ明瞭な金額を記載することが求められていると考えられます。
記載項目その2.新築が必要である理由
この項目の記載で、「新築費用が認められるか否かが審査される」と考えましょう。「新築が必要である理由」として、記載すべきは、
(1)建物を新築することが、補助事業の実施に真に必要不可欠であること
(2)既存の建物等を改築する等の代替手段がないこと
の2点です。この2項目について、全体で最大2ページ以内になるように記載しましょう。極めて重要なため、1つずつ考察していきます。
(1)「建物を新築することが、補助事業の実施に真に必要不可欠であること」について
「真に必要不可欠」ということは、つまり「建物を新築しないと、補助事業の実施すら出来ない」ということです。同一商圏において、例えば空きテナントがあり、そこを賃借(+なんらかの内装工事を実施)すれば事業を開始できるような場合では、新築費用は棄却される可能性が高いと考えられます。具体的には、以下のような理由があれば、この「真に必要不可欠」とされると考えられます。
・設備(機械装置費)導入の前提として、既設工場では、手狭であり、設置場所が確保できない場合
→機械装置を青空駐車場に置くわけにもいかないため、建物(この場合は工場)の必要性が明らか
・取り組みたい事業そのものが、いわゆる「ハコモノ」が必要な場合
→例えば、「サービス付き高齢者向け住宅」等の施設設置系介護・福祉事業へ参入する場合などが考えられます。事業内容として当然に建物が必要な業態であり、「建物がないと事業そのものが開始できない」ことから、「真に必要不可欠」であると考えられます。
なお、上記の2つのような場合であっても、「改築・改修」で事足りてしまう場合は、次の「既存の建物等を改築する等の代替手段がないこと」に抵触し、新築費用が認められない可能性が高いと考えられます。
(2)「既存の建物等を改築する等の代替手段がないこと」について
「既存の建物等を改築する等の代替手段がないこと」については、以下のような場合が考えられます。
・改修対象となる既存の建物を、応募申請時点においてそもそも所有していない場合
・改修対象となる建物を取得する費用と改修費用の合計額が、新築する場合の費用を大きく上回る場合
・既存建物はあるものの、構造的に改修が不可能又は著しく困難な場合(改修を行うことで、耐震性能が下がってしまい、甚大な影響が生じてしまう可能性がある等)
・既存建物はあるものの、改築等をすることが社会経済上合理的とは言えない場合(築50年以上の木造住宅等)
・既存建物はあるものの、全く別の商圏であり、補助事業の計画が達成困難となってしまう場合
上記以外にも、補助事業の内容や申請を検討される事業者様の個別事情によって、「代替手段がないこと」について合理的な説明が考えられます。
【令和4年7月2日追記情報】新築が認められる具体例が公表されました。
新築の建物費がある場合は、<条件付き採択>となります!
応募申請後、電子申請ページにログインして、確認すると、単純に「採択」ではなく、「条件付き採択」と表示されます。これは、「事業計画として採択はされたけど、まだ新築の必要性について確認できたわけではない。交付申請後の審査において、新築の必要性を確認するから、あくまで新築費用を含めて交付決定が出ることが採択の条件となります」という意味です。「交付申請の結果、新築の必要性が否定され得る」というわけですので、ぬか喜びしないように注意が必要です。